Co-Creation 地域の明日をつくるフツウの人たち
「よい加減」の介護を目指す
住宅地のアットホームなデイサービス
                   
                  特定非営利活動法人あじさい

小規模施設の複数展開


人口約16万人の小山市の中で、駅東の住宅密集地である城東は小山市でも人口が集中している地域のうちの一つで、およそ3万人の人が住んでいる。
<あじさい>が、ここ城東で宅老所をスタートさせたのは、およそ12年前のことだ。宅老所から始まった<あじさい>は、介護保険制度の開始にあわせてNPO法人化して介護事業者となり、まずは城東五丁目に拠点を開設した。小規模の介護施設は、小山市では<あじさい>初であったという。その後、城東地域の小さなエリアの中で、二丁目、五丁目、一丁目に一ヶ所ずつ、計三ヶ所の介護施設を次々と開設してきた。
  

<あじさい>のデイサービス施設は、いずれも民家を改装した小規模なものである。段差解消の工夫や風呂場の入浴設備などがデイサービスであることを示しているものの、室内に戻ると床の間には書が飾られて、フツウの生活の匂いがそこかしこから漂う。いわゆる「施設」といったイメージからはほど遠く、近所のお宅におじゃましたような雰囲気である。
複数の事業所を束ねる法人本部には喫茶スペースが整備されており、月に一回程度、各事業所の利用者が招かれて「あじさい喫茶」というイベントがおこなわれる。昔の喫茶店を彷彿させるコゲ茶の木肌を生かした内装に白熱灯の穏やかな光の灯る「あじさい喫茶」で利用者はコーヒーと手作りケーキでもてなされて、ひとときを過ごしていく。片隅に置かれたレトロな皮調のソファの隣には図書コーナーと職員が同じソファに腰掛けて話しに興じる。

          

介護保険事業者も事業者である以上、大規模な施設で、職員の数をぎりぎりにしてマニュアル化していけば、経営効率はよくなっていく。しかし、あじさいは、あえてその道を選ばなかった。
「小さな施設の方が、マニュアルにないプラスアルファの部分を伝達しやすいし、思いを継承しやすい。利用者さんの色にあわせながら、寄り添っていく。専門家としての知識とボランティア、人と人が認め合うという感覚を同時進行で持っていくのが<あじさい>っぽいんじゃないかと思う」と菅野さんは言う。
壱番館から参番館まで、現在3ヶ所のデイホームを運営している<あじさい>の施設を地図上で見ると、狭いエリアの中でつかず離れずの位置に置かれた拠点は、ちょうど囲碁の布石に似ている。施設を大規模化していくのではなく、アットホームな小規模施設を複数つくっていくのが「あじさい流」のようだ。


 

菅野美加子さん

特定非営利活動法人あじさいの統括管理者。ケアマネージャー(介護支援専門員)。老人保健施設での介護職経験を経て「あじさい」設立時より運営に関わる。


住宅街の人の中での生活を重視


狭いエリア内での小規模施設の複数展開と同時に<あじさい>が重視してきたのが、住宅街でのサービスの提供である。住み慣れた地域で家庭の延長としての日常を送ることのできる環境づくりには、車がなければ移動できない郊外よりも、駅や商店街に近い住宅街のほうが適しているという。
「やがて高齢になって、車に乗ったりができなくなったとき、近くの商店街に自分で買い物に行ってコミュニケーションしながら買い物したり、目で見て買える範囲でお金を出して、人の中で生活ができる」近くに商店街や駅のある住宅街に<あじさい>は今まで意識的にとどまってきた。さらに次の施設を開設する時も、同じ城東に開設することを選んでいる。そし
て、新しい施設を開設するときは、近くに公園や幼稚園などがある場所を探してきた。
  
       

「保育園の園長先生が話されていた。お年寄りと子どもは相性がいい。リズム、時間の感覚やペースがいっしょらしい。二丁目は近くの保育園との交流がある」
<あじさい>のように、事務的な機能などを複数の小規模施設のネットワーク化によって共有し、現場は小規模に保っていけば、小規模のアットホームな良さは残しつつ、大規模の事務効率化の両方をある程度満たすことができそうだ。さらに、同じ狭いエリアに拠点を増やしていけば、点を面にしやすくなる。
小規模な拠点を狭い地域の中で増やしていき、ネットワーク化によって利便性や効率性を図るやり方は、介護保険事業に限らず、他の分野の活動にも応用ができそうである。他の地域で同じやり方で事務展開していくことがでてきて「点」が増えていけば、いずれは「あじさいスタイル」は「小山スタイル」になっていくのかもしれない。


    

  ●特定非営利活動法人 あじさい (本部:デイサービスあじさい参番館)  
    http://www.npoajisai.org/
    栃木県小山市城東2-8-19
    TEL:0285-25-8256 FAX:0285-25-8257

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